ラブコメ作品から見たマレーシアの恋愛事情

2月14日のバレンタインに寄せて、今回はマレーシアの恋愛事情について。

ちなみに、こちらでは2月1日のチャイニーズニューイヤーの飾りつけが街中に残っていて、

バレンタインはわきに追いやられ、そんなにバレンタイン商戦~って雰囲気はありません。

ひょっとしたら若い人たちは違うのかも?でも、イスラムの国だしな???

とちょっと疑問に思っていたら、ちょうど面白そうな映画をやっていたので見に行ってきました。

ちなみに、マレーシアで映画館で映画を見るのは初めて。しかもマレーシアの作品。

会話が理解できるか不安だったのですが、一応、英語の字幕あり、かつ、

あらすじを読んだだけでなんとなく展開が読めるラブコメ

というわけで、まずは予告編をご覧くださ~い。

youtu.beほ

ほら、なんとなく、わかったのでは?

そして、と思われたかもしれませんが、字幕として

マレー語、広東語、英語の3行が流れています。

これ、全編で流れます!

3行も入るので、ただでさえ読みにくいのに、

結構スピーディーで、読むのが追いつきませんww

内容もかなり省略されているんだろうな、という感じ。

わかりやすいストーリーで良かった~。

でも、マレーシアの人が多言語脳になる理由が

わかる気がします。

 

改めてストーリーを紹介すると、主人公はマレー系の女の子シャリファと、中華系のジャック。

ジャックは父親が営む料理店でシェフをしています。シャリファの父親も有名なマレー料理のシェフ。

恋に落ちたシェリファとジャックですが、父親たちの猛反対に合い、

ついにはテレビの料理番組で、父親たちが対決することになってしまい……。

 

この料理対決シーンが、かつての「料理の鉄人」そのまんまな感じ(笑)

そして、テーマがcatfish、つまりナマズなんです!

中華のシェフと、マレーのシェフが、それぞれどんなふうに調理するのか。

私がこの作品を選んだ理由の一つが、まさに料理の違いがわかるかな、と思ったからで、

ナマズのマレー料理に興味深々。映画ではマレーが誇るドリアンと組み合わせており、

調べてみたら、独特の臭みで有名なドリアンを発酵させたソース「テンポヤ」と、

ナマズを組み合わせた郷土料理があるそうです。

しかも日本でも買えるそうですよ!!! 私もぜひ挑戦してみなければ~。

 

すっかり話が恋愛からずれかけていますが、

実は主人公を中華系のシェフにしたのが、この作品のポイントだと思います。

基本的にムスリムの人と結婚するには、もう一方もムスリムになる必要があります。

そして、ムスリムの人は豚肉を食べませんし、触れることさえ嫌がります。

つまり、このシェフは今後、豚肉を調理することができなくなる。

豚肉のない中華料理なんて……ありえなくない⁉ というわけなんです。

 

そもそも、ムスリムの人は基本的にグループ交際で、

2人でデートに出かける=結婚、ということになるんだとか。

もちろん現実には、結構手をつないだりしているムスリムカップルを見かけますが、

警察に逮捕される可能性もなくはないそう。

なので、恋愛ドラマの描き方も難しいようで、この作品でも恋愛過程はほぼ描かれていませんでした‼

一方で、マレー系と中華系のカップルもそこそこ見かける気がします。

SNSで知り合った既婚女性にちょっと聞いてみると、

「今はそんなに反対されないんじゃない」とのこと。

いろんなムスリムの方の話を聞いていると、豚肉を含めたハラルフードに対する考え方は

緩めの人もいるし、厳しめの人もいてまちまちで、

普通の家庭だと各家庭のルールに則って生活するのだと思いますが、

映画ではシェフという仕事と直結した、反対されがちな設定にしたんだろうな、と推測しています。

 

さらにその方にうかがってみると、実はその人自身が中華系と結婚したムスリムでした。

普段ヒジャブをかぶっていらっしゃらないようだったので、私は気づいてなかったんですね。

たまに、こういう方もいらっしゃるとは聞いていましたが、実際に知り合ったのは初めて。

そして、その方のおばあさんも、中華系の男性と結婚されたそうで、

そのおじいさんはやはり改宗されたそうです。

「何世代にもわたって互いの文化を理解し合ってきたからこそ、

今は割と普通に結婚できる時代になった」と彼女。

 

マレーシアのさまざまな側面について考えることができた作品でした。